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Jun Ishioka
国内大手IT企業では、全社的な業務効率化を目的にChatGPTのトライアルを実施していました。しかし、制度設計やルール整備に入る前の段階で「構造的な行き詰まり」が生じ、導入効果を見込めない状況に陥っていました。
最大の課題は、一般的なChatGPTでは社内データにアクセスできず、“業務で使える回答”にならない点です。さらに、法人版ChatGPTは固定ライセンスの費用負担が大きく、全社展開を行う場合の費用対効果が見合いませんでした。
こうした背景から、「社内データに基づいて回答でき、利用率に応じて費用を最適化できる社内専用AI基盤を構築したい」という要望が生まれ、Border Zがプロジェクトを支援しました。
本記事では、プロジェクトの背景、技術アーキテクチャ、開発プロセス、2ヶ月で本番運用に到達した成果を紹介します。

本プロジェクトは、国内大手IT企業が全社的なAI活用を推進する中で進めた取り組みです。背景には次のような課題がありました。
ChatGPTのトライアルでは一定の成果があったものの、実務定着には至らなかった
社内データにアクセスできず、業務に必要な回答が得られない
固定ライセンス型サービスでは費用対効果が合わない
利用頻度に関係なく固定費が発生し、投資判断が難しい
現場からは「AIの回答が業務につながらない」「利用するイメージが湧かない」といった声が多く、AI導入の議論そのものが進みにくい状況が生まれていました。
こうした環境を踏まえ、プロジェクト側では次の要件が明確になりました。
社内文脈を理解した回答ができるAIが必要
AIの活用状況に応じて費用を最適化したい
固定ライセンスではなく、従量課金ベースで運用したい
社内環境に置ける“安全性の高いAIチャット環境”が必要
これらの要件を満たすため、Border ZではLibreChatをベースにした社内専用AI基盤の構築を提案しました。
ChatGPTは社内データにアクセスできないため、社内用語、ドキュメント、独自ルール、過去のプロジェクト背景などが反映されません。その結果、「便利ではあるが実務では使えない」という評価が広がり、利用頻度が伸び悩んでいました。
法人版ChatGPTはユーザー数に応じて高額なライセンス費が必要です。利用頻度が低い部門も含めて固定費を負担する構造では、全社展開が現実的ではありませんでした。
利用率向上には、
実務に直結する回答が返ってくること
社内文脈を理解した回答が得られること
安全に利用できる環境が整っていること
が欠かせません。しかし現状では「便利だが業務では使いにくい」という評価が強く、実利用の伸び悩みが課題でした。
Border Zでは、汎用SaaS型AIサービスを契約するのではなく、企業側で保有できるAI基盤を構築するアプローチを採用しました。核となるのが LibreChat です。LibreChatはOSS(オープンソース)のチャットUI/基盤であり、企業独自の環境や要件に合わせて柔軟にカスタマイズできます。
完全に企業側のインフラ内に構築
セキュリティ要件に合わせて強化
UI/UXを企業用途に合わせて最適化
権限・利用ログ管理も企業ポリシーに準拠
「社内に置ける」「拡張できる」「低コスト運用できる」AI基盤を実現しました。
LibreChatの強みは、LLM(大規模言語モデル)を自由に切り替えられること です。
たとえば、
高精度が必要:GPT-4
長文処理や要約:Gemini
コスト重視:DeepSeek
特定タスク特化型:カスタムモデル
この設計により、精度 × コストのベストバランスを都度選択できます。
固定費ではなく、利用した分だけ費用が発生する従量課金に変更することで、以下のメリットが生まれました。
部門間で利用頻度が異なってもコストが適正化
“使われない固定費”がゼロに
同じ予算で利用可能人数を大幅に増やせる
今回のフェーズでは社内データを直接連携しない構成ですが、将来的に下記を容易に追加できる設計にしています。
社内ドキュメントDBとの接続
SharePointや内部WikiとのRAG連携
社内ナレッジベース構築
プロジェクトデータのリアルタイム検索
UIコンポーネントの再設計
セキュリティ強化のためのプロキシレイヤー
LLM API切替機能の拡張
独自の利用ログ管理機能を追加
技術部門向け:コード生成・要件整理向けUI
企画部門向け:資料作成・要点抽出に最適化
管理部門向け:文章チェック・契約文書確認
“誰が何のために使うか”から逆算した設計を行いました。
利用部門のニーズを踏まえ、“誰が何のために使うか”に基づいて設計しました。
社内サーバまたは閉域環境で完結
APIキー・モデルアクセス権限の統制
利用ログの暗号化
認証基盤との連携
大企業のセキュリティ基準に合わせた安全な環境を実現しました。
2週間で以下を整理しました。
AIチャットの利用目的
想定ユーザー
必要な画面・機能
必要なLLMとモデル構成
将来的な拡張性要件
LibreChatを土台にしたプロトタイプを素早く構築し、利用部門から継続的にフィードバックを収集しました。UI改善を中心に、実務フィットを高めました。
インフラ側の制約対応
セキュリティ設計の調整
ログ基盤への統合
部門向けテスト環境を順次構築
利用ログを踏まえた改善
導線の見直し
モデル切替フローの調整
予定遅延なく、短期間で本番運用に到達。
利用頻度×推論コストに応じた“適正な支出”だけで運用可能に。
LibreChatとUI最適化により、業務に直結する回答が得られる環境に。
“まず使ってみよう”という社内ムードが生まれ、利用部門が拡大。
大企業の要件に合わせたLibreChatの深いカスタマイズ力
LLM切替機能によるコスト最適化の実現
セキュリティ要件への対応力
PoC止まりにさせない“本番運用までやり切る実装力”
要件整理〜技術選定〜構築を短期間で推進するスピード感
今回構築した社内専用AI基盤は、
社内文脈のある回答
利用率に応じたコスト最適化
セキュアで柔軟に拡張できるAI基盤
LibreChatのOSSを活かした高速構築
を2ヶ月という短い期間で実現しました。
“業務で使えるAI”とは、単にChatGPTを導入することではなく、企業の文脈・コスト構造・セキュリティ要件に適合したAI基盤を整えることだといえます。今後はRAG連携による社内DB検索や、部署ごとのLLM最適化など、さらなる実務定着に向けた発展が期待されます。
貴社の社内環境に合わせたLibreChatベースの専用AI基盤構築をご検討の場合は、お気軽にご相談ください。要件整理から設計・構築・運用設計まで、短期間での導入を支援します。
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