ブログTOP
Jun Ishioka
国内大手IT企業の営業部門では、提案前のヒアリングに抜け漏れが多く、開発部門の確認・再整理に大きな工数が発生していました。扱う案件の領域が幅広く、営業担当がすべての技術知識をカバーするのが難しい状況で、ヒアリング精度にばらつきが生じていたことが背景にあります。その結果、提案スピードが落ち、リードタイム全体にも遅延が発生していました。
こうした課題を解消するため、Border Zは営業担当が自然な対話を通じて必要な情報を確実に取得できる法人向けAIエージェントを開発しました。このAIエージェントはPoC段階を超え、わずか3ヶ月で本番運用レベルに到達しています。
本記事では、プロジェクトの背景から開発プロセス、成果までを紹介します。

本プロジェクトの対象は、国内大手IT企業の営業部門です。営業は顧客からの新規問い合わせを受けた後、開発部門が詳細ヒアリングを行うという流れでした。
しかし、営業ヒアリングの質にばらつきがあり、追加確認や仕様整理の手戻りが頻発していました。開発部門の工数を圧迫し、見積り・提案のスピードが落ちる状況が続いていました。
営業が扱う案件は業種・技術分野ともに幅広く、すべての領域のヒアリング項目を覚えることは困難です。「何を聞けばよいかわからない」「重要項目を聞き忘れた」といった状況が日常的に発生していました。
一般的なLLMはランニングコストが高く、全社展開には向いていないという制約もあり、導入には現実的な仕組みが求められていました。
こうした背景のもと、Border Zは自然言語対話型のAIエージェントを用いて、営業ヒアリングの抜け漏れを根本的に解消する仕組みを提案し、開発を支援しました。
営業担当ごとにヒアリング精度が異なる
必要情報が不足し、開発部門が再度顧客へ確認
見積り・提案までのリードタイムが遅延
業種や技術領域の幅が広い
営業に求められる知識量が膨大
全領域のヒアリング項目を把握するのは現実的ではない
追加のヒアリングや仕様整理に時間を奪われる
並行プロジェクトが多い中で負荷増大
ライセンス型や高頻度利用が前提のモデルは展開しづらい
運用面では従量課金での最適化が不可欠
Border Zが開発したのは、営業担当がAIと自然に会話しながら必要なヒアリング項目を確実に取得できる対話型AIエージェントです。AIが「次に聞くべき項目」をガイドするため、専門知識がなくても抜け漏れのないヒアリングが実現できます。
フォームやスプレッドシートとは異なり、「案件の概要を話すだけで、AIが内容を整理してくれる」のが大きな利点です。
営業:「顧客から新規開発の相談があって〜」
AI:「現在のシステム構成についても確認しておきましょうか?」
営業:「そうでした、聞きます」
このように、会話の流れの中で必要項目を自然に補完できます。
AIエージェントの中核には、LangChainのメモリ・モデル呼び出し基盤の上に、LangGraphで10段階のフェーズ遷移(ステート)を構築するアーキテクチャを採用しています。
LangChainはメモリ管理やモデル呼び出しの基盤として機能し、LangGraph側で「現在どのフェーズにいるか」「次に何を確認すべきか」を定義します。これらを組み合わせることで、AIがヒアリングの進捗を把握し、必要な項目を順序立ててガイドできる仕組みを構築しました。
毎日のスタンドアップミーティングで認識をすり合わせ、要件変更が起きやすいAI領域に最適なプロセスを構築しました。「見えるソフトウェア」でこまめに確認し合うことで、認識ズレや手戻りを極小に抑えました。
AIエージェント開発に特化した少人数チームで実装し、意思決定スピードを確保。3ヶ月という短期間での開発を実現しました。
営業部門と開発部門の現行プロセスを可視化
ヒアリング項目を分類し、フェーズ単位で整理
対話フローをテキスト・UI双方から設計
10段階のステートを定義
「どこまで聞いたか」「次に何が必要か」を可視化
営業ごとの聞き方の癖にも対応できる柔軟設計
毎日のスタンドアップで不明点・変更点を即解決
プロトタイプを頻繁に共有し、認識を合わせる
手戻りを最小限に抑えた開発サイクルを確立
本プロジェクトでは、以下の成果が得られました。
AIのガイドによって営業が迷わずヒアリングを進められ、重要項目の抜け漏れが大幅に減少しました。
追加ヒアリングが減り、開発部門の負担が軽減。仕様整理のムダが減り、全体のリードタイム短縮につながりました。
営業担当者からは「聞くべき内容の整理に迷わなくなった」「顧客との会話がスムーズになった」といった声が寄せられています。
PoCにとどまらず、本番利用できる品質まで短期間で実装しました。
高額なライセンス型LLMではなく、費用対効果の高い構成を採用し、運用コストを最適化しています。
Border Zが評価されたポイントは次の通りです。
PM1名+エンジニア2名で高速開発。
AIエージェントに適した技術スタックを選定し、堅実に構築。
AI開発特有の仕様変動に即応できるコミュニケーション設計。
ビジネス要件を理解し、実用レベルに落とし込むための対話設計力。
営業担当が案件ごとに異なる専門知識を補完し、開発部門に負荷なく情報を渡すためには、従来のフォーム型では限界があります。
今回構築した 法人向けAIエージェント は、
営業のヒアリング精度向上
開発部門の工数削減
提案リードタイムの短縮
運用コストの削減
を同時に実現し、短期間で社内プロセスの改善に貢献しました。
今後も、営業支援・顧客対応・社内ナレッジ活用など、企業の現場に即した“現実的に使えるAIエージェント”の需要はさらに高まっていくと考えています。
貴社の営業プロセスや業務フローに合わせた法人向けAIエージェントの開発をご希望の場合は、お気軽にご相談ください。要件整理からPoC、本番運用まで、短期間での立ち上げをサポートします。
最新記事
受発注業務のAI導入はどこまで可能か?|自動化できる範囲と導入前の判断基準
AIエージェント
AIエージェントの活用事例まとめ|業務別に見る導入パターンと判断ポイント
AIエージェント
AIエージェントとは?仕組みと生成AIとの違い、導入で失敗しない判断軸
AIエージェント
記事一覧へ戻る